2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

時間喰いのモービーディック(小説)

時間喰いのモービーディック misty 二一〇一年、僕の中で世界中の街は海水に浸されていた。僕の予想だが、おそらく二十一世紀の何十年間で破壊され続けた地球環境が海水面の上昇をもたらし、その一方で人々は電脳空間のみに増々のめり込むことになった。いわ…

フェミニズムと〈政治〉

1、フェミニズムとは何か 「フェミニズム」を端的に説明しているものとして、たとえばちくま新書の大越愛子さんの入門書『フェミニズム入門』の冒頭ではこう書いてある。 「……とりあえずここでは、フェミニズムを「女性の自由・平等・人権を求める思想」と…

夢の中で死んだ鳥は現実(完結)

以前ストップしていた「夢の中で死んだ鳥は現実」という小説をいちおう最後まで書き上げました。6000字、原稿用紙だと15枚ですね。 どこからが続きか分からないので、改めて全文載せます。書いたばかりなので表記や誤植があると思います。 夢の中で死んだ鳥…

感情論と第一の帰結——サルトル『存在と無Ⅱ』

hh26018823.hatenablog.com ↑前回記事 今回は、サルトルの「他者論」——それを即自〔無〕、対自〔意識〕と議論をすすめて「対他—存在」として議論する——の中から、比較的分かりやすかった感情論と、他者論の第一の帰結について説明する。今回は分かりやすいと…

サルトル『存在と無』第二巻より

ずっと以前から、ジャン=ポール・サルトルの『存在と無』を読んでいる。『存在と無』の邦訳はサルトル全集のほか、今僕が読んでいるちくま学芸文庫版で3巻に渡ってある。訳者はどちらも同じ松浪信二郎さんである。 存在と無―現象学的存在論の試み〈2〉 (ち…